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執筆者の写真ptyorch

「モダン・アートコンサート」プログラムノート③


8月21日に開催されるコンサート「モダン・アートと融合する若き作曲家たち」で演奏される、新曲「画家キリオカマキの絵画作品による6つのシナスタジア」のプログラムノートを公開します。

作曲家たちは、それぞれの絵画作品のどこに着目し、音楽に変換したのでしょうか。

また、それぞれの曲のテーマとは?

画家キリオカマキの絵画作品による 6つのシナスタジア (新曲初演)

伊藤栄乃:第1曲 モティーフ絵画 / シアン・ド・ギャルド(番犬)

作曲者がこの曲の中に見出したテーマは「ある犬の小さな冒険」 であると言う。

主人が不在の食卓で、ひとり食事を眺めるフレンチ・ブルドッグは、まさしく「番犬」である。ハイテンポな音楽と共に、絶対に食べてはならない目の前のカレーとの葛藤が始まる。絵画全体から醸し出される上品さはヴァイオリンの二重奏によって表されるが、それに反してトロンボーンがフレンチ・ブルドッグの疑心暗鬼を表現する。次々に移り変わっていく感情を様々な楽器が代弁していく。

最後まで、つまみ食いせず守っていられるだろうか?

●絵画作品名:『シアン・ド・ギャルド(番犬)』(桐枠・麻布カンヴァス/アクリル絵具) ●制作年:2015年   ●サイズ:F8(38cm×45.5cm)

宮下亮明:第2曲 モティーフ絵画 / 夢を奏でる象

この絵画の中には、昨年5月に国内最高齢(69歳)で天に召された、井の頭自然文化園の象のはな子がモデルとして描かれている。作曲者は、不自然なまでの青一色で塗られた背景が、動物園のコンクリートの壁ではないかと考えた。

しかし、その人工物の中で最期まで「夢を奏でた」象の姿は、奇妙なまでの美しさを醸し出している、と語る。曲中、コントラバスのピッツィカートは象の足音を、ピアノによって背景が表され、クラリネット・トロンボーン・ヴァイオリンによって象の色彩が表現されている。様々な意味を込め、作曲のテーマは「歩み」であると言う。

●絵画作品名:『夢を奏でる象』(桐枠・麻布カンヴァス/アクリル絵具)

●制作年:2016年   ●サイズ:SM(22.7cm×15.8cm)

伊藤栄乃:第3曲 モティーフ絵画 / 秀犀-シュウサイ-

作曲者は、この絵画の中のサイが、とても「良い子」に見えると言う。それは表情はもちろん、ピンク色の背景からも感じ取れる。しかし、サイ自身が様々な色によって描かれているのは何故か?これは、普段はとても優しいサイが、淀んだ心を隠そうとする内心の葛藤ではないかと作曲者は語った。この内心の苛立ちが、もしもいつか爆発してしまったら…?それがこの曲には表されている。曲の途中から唐突に開始されるワルツは、落ち着きを取り戻そうとするサイを暗示するが、既にその感情には手がつけられず、即座に崩壊していく。作曲のテーマは「動物の中に見える人間性」だと言う。

●絵画作品名:『秀犀-シュウサイ-』(画用紙/アクリル絵具)

●制作年:2015年   ●サイズ:20.9cm×30.3cm

続きの3曲は、また明日の更新でチェックして下さい!

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<モダン・アートと融合する若き作曲家たち>

【日時・場所】 2017年8月21日 19:00開演(18:30開場) めぐろパーシモンホール 小ホール

【参加する作曲家たち】 永井秀和 (東京藝術大学作曲科 卒業) 伊藤栄乃 (桐朋学園大学作曲科3年次 在学中) 宮下亮明 (桐朋学園大学作曲科3年次 在学中)

【参加する画家】 キリオカマキ

【演奏する曲目】 ●永井秀和:Romantic Ballade ●伊藤栄乃:Le metre pour changer ●宮下亮明:Collage 16to@ ●合作:画家キリオカマキの絵画作品による6つのシナスタジア (新曲初演)

【入場料】 全席自由 2,000円

こちらのアドレスから、チケット申込フォームにアクセスできます♪

https://ssl.form-mailer.jp/fms/98f16abb509605

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【次回の更新は明日、8月20日(日)を予定しています】


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