昨日に引き続き、8月21日に開催されるコンサート「モダン・アートと融合する若き作曲家たち」で演奏される曲目の、プログラムノートを公開します。
作曲家たちが考える、それぞれの曲の「聴きどころ」がプログラムノートからは伝わってきます。
伊藤栄乃:Le mètre pour changer より 第4楽章・第5楽章
【編成】オーボエ・クラリネット・トロンボーン・ピアノ・コントラバスによる五重奏曲
2015年制作。
「変化する韻律」を意味する題名の通り、曲全体を通して拍子は常に変化し続ける。
第4楽章冒頭では、オーボエとクラリネットが対話を行う。異なる主張を述べる二者が次第に 意気投合し、そこに初めてテンポが生まれる。
そのまま止まる事なく第5楽章に突入すると、極めてリズミカルな音楽に変わる。楽想は次々に 激しく移り変わるが、すぐに終わってしまう。
様々なジャンルが複合した、コミカルな作品である。本来この曲は、クラリネット2本・ファゴット・マリンバ・コントラバスの為に書かれたもの だったが、本日の為に大きく再編成された。 楽器を変更する事で、この曲の新しい一面が見えた、と作曲者は語る。
永井秀和:Humanism
【編成】弦楽四重奏とピアノによる五重奏曲
2013年制作。
この音楽は、一貫したリズムと、同じフレーズの繰り返しによって構成されているが、 4つの段階を経て徐々に崩れていく。
【前奏】2つの和音によって、穏やかな気持ちが表される。
【提示】ピアノの旋律と弦楽器の伴奏による人と人との繋がり、一瞬の幸せ。
【再現】弦楽器の伴奏の上に鳴る不規則なピアノによる、人の仲の破綻、狂気。 そして、ピアノの呼びかけに応じる事無く、壊れていく伴奏。
【結尾】前奏の反行による原点回帰。
本来、この曲はここで終わりになるが、次の曲と合わせて演奏することにより、 新たな一面を見せる。
永井秀和:Romantic Ballade
【編成】弦楽四重奏とピアノによる五重奏曲
2014年制作。
『Humanism』とは真逆の、ロマンティックな音楽である。叙情的であり、風景的な音楽で、はじめに提示されたテーマが徐々に広がりをみせていく。
『Humanism』とは全く無関係に制作された楽曲だが、それらを対にして演奏することで、 絶望から歓喜へ、傷ついた心が癒えていくようなストーリーが感じられた事は、 作曲者にとって新たな発見であった。
今日はコンサートの前半を彩る3曲をご紹介しました!
この続きは、また明日の更新でチェックして下さい!
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<モダン・アートと融合する若き作曲家たち>
【日時・場所】 2017年8月21日 19:00開演(18:30開場) めぐろパーシモンホール 小ホール
【参加する作曲家たち】 永井秀和 (東京藝術大学作曲科 卒業) 伊藤栄乃 (桐朋学園大学作曲科3年次 在学中) 宮下亮明 (桐朋学園大学作曲科3年次 在学中)
【参加する画家】 キリオカマキ
【演奏する曲目】 ●永井秀和:Romantic Ballade ●伊藤栄乃:Le metre pour changer ●宮下亮明:Collage 16to@ ●合作:画家キリオカマキの絵画作品による6つのシナスタジア (新曲初演)
他
【入場料】 全席自由 2,000円
こちらのアドレスから、チケット申込フォームにアクセスできます♪
https://ssl.form-mailer.jp/fms/98f16abb509605
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【次回の更新は明日、8月16日(水)を予定しています】