6月12日に、くじら第九合唱団の皆様と指揮者・渡辺智博氏による指揮者合わせが行われました。これまでは専属指導者の先生が合唱団を指揮していましたが、この指揮者合わせでは初めて渡辺氏が指揮することになります。
いままでと違う意見や音楽性を持った指揮者がリハーサルに参加する事でどのような反応を頂けるか気になっていましたが、合唱団の皆様からは「堂々とした声で、分かりやすく伝えるためのたくさんの工夫をして下さった。」などの、大変温かいお言葉を頂きました。
今週は、渡辺氏に指揮者合わせの様子などを含め、色々な事を聞いていきたいと思います。
指揮者/渡辺智博
1歳から音楽に触れ、3歳からピアノを始める。これまでにピアノを木曽真奈美、石岡久乃の各氏に、作曲を三瀬和朗氏に、指揮を岡田俊昭、梅田俊明の各氏に、コントラバスを市川雅典氏に師事。2013年、当時在籍していた芝学園ギター部の指揮者として、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンのキオスクコンサートに出演。現在、桐朋学園大学3年次在学中。桐朋学園有志オーケストラ『NABEオケ』を創設、指揮を務める。
────本日は宜しくお願い致します。
渡辺 ── 宜しくお願い致します。
────ではまず、指揮者を志したきっかけなどお聞きしても宜しいでしょうか。
渡辺 ── 中学・高校ではギター部に所属してまして、そこで初めて指揮をしたんですね。
渡辺 ── そこからもっと大きな編成に憧れて、オーケストラの指揮をしてみたい。と思ったのがきっかけになります。
────ギター部で指揮を任されたくらいですから、音楽に対する興味は人一倍高かったのでしょうか?
渡辺 ── そうかもしれませんね。1歳の時にクラシックに興味を持っていたらしく、古典派から聴き始めていたそうです。
渡辺 ── それから3歳になって、ピアノを始めました。
────それから中高を経て音楽大学に進んだのですね。
渡辺 ── はい。
────私自身常々疑問に思っているのですが、ヴァイオリンやピアノなどの器楽の"練習"は、なんとなく想像できますが、指揮者の"練習"というのは、どのようになるのでしょうか。
渡辺 ── なにより楽譜を読み込むことが日課になるわけですが、いわゆる"練習"っぽい事と言えば…
渡辺 ── まずは鏡の前に立って振ってみるんですね。そして演奏者の視点に立ち、楽譜と照らし合わせながら、不具合が起きてしまう可能性のある箇所を自分で修正し、振り方を正す。という事を行なっています。
────なるほど。常にプレイヤーの視点に立って考えるんですね。
────7月30日の「二大レクィエムコンサート」ではフォーレのレクイエムの指揮をする渡辺さんですが、初めてこの曲に取り組む時、まず楽譜の何を見るのでしょうか?
渡辺 ── フォーレのレクイエムには、3種類のバージョンがあり、それぞれ楽器編成も制作時期も違うんですね。
渡辺 ── 今回演奏するのは最も編成の大きい第3稿になりますが、今回演奏しない第1稿や第2稿とも比較して研究しました。
渡辺 ── そうすると、各バージョンで微妙にアーティキュレーションや強弱が変更されている事に気づきます。
────フォーレ自身が曲を改定する時に、書き換えたということですか?
渡辺 ── そうです。編成が大きくなった事による変更だったり、理由は様々ですが、非常に興味深い事です。
────大変細かい所まで読み解いて行くんですね!
────先日、くじら第九合唱団の皆様との指揮者合わせが行われましたが、こちらはいかがでしたか?
渡辺 ── 大変満足のいく内容でした。合唱団の皆様は非常にやる気に満ち溢れていましたので、僕も気合いが入っちゃいまして。2時間の練習時間が気付いた時には終わっていた。という感じですね…(笑)
────それは大変良かったです!
渡辺 ── 次はもうオーケストラ付の合わせになりますので、かなり細かいニュアンスまでしっかりとリハーサルを行いました。合唱の皆様は万全の体制でオーケストラリハーサルに臨めると思います。
────コンサートを心から楽しみにしています!
────本日はありがとうございました。
渡辺 ── ありがとうございました!
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<二大レクィエムコンサート>
【日時】
2017年7月30日(日)
14:00開演 (13:30開場)
【場所】
KOTORIホール (昭島市民会館)
【演奏曲目】
フォーレ:レクイエム (第3稿)
モーツァルト:レクイエム (ジュースマイアー版)
【指揮者】
澤﨑杖也 (桐朋学園大学研究科指揮在籍中・モーツァルト担当)
渡辺智博 (桐朋学園大学3年生・フォーレ担当)
【演奏】
くじら第九合唱団
PLANET-TERRA Youth Orchestra
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【次回の更新は6月26日(月)を予定しています】